Day by day 心にきざむ風景


人生いろんなことがあるけれど、今を大切に自分なりに生き抜こう
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ノベライズ本と参考文献

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「そして父になる」のノベライズ本、
ついつい何度も読み返してしまう。
監督による脚本、小説化なので、すごく映画の場面場面に忠実www
興味深いのは、映画の中では
ただ動作だけで表現されていた登場人物の心の声が
独白として綴られていく。
映画では印象的な心象風景だけで描かれていたものに
それぞれの登場人物の主観的な想いが文章化されているので
とても面白い。
到底セリフで実感を語ることのできない子供たちの気持ちも
切ない丁寧さで描かれている。
映画だけでは表面的にしかわからなかった人物の背景や
一瞬の表情や言葉、電話などに凝縮されていた良多の親族関係や
実母や義理の母への封印されていた想いが
ノベライズ本を読むと、とてもよく分かる。
映画を見た時に「あれ?なぜ」と疑問に思ったことの
答えを見つけたようで
妙に腑に落ちる安堵感を覚えました。

ただラストはとてもあっけらかんとしていて・・・
これがもしかしたら、参考文献のモデルになった
実際の取り違えのご家族たちの心にひっかかったのかな・・・?
「実際はこんな簡単なものではなく、
もっと凄まじく辛い葛藤に満ちていたのに・・・」と

でも私はこのラストはきっと是枝監督の願いのように思えました。
この解釈やラストシーンへの賛否は人によって違うかもしれませんが
実際にはなかなかそんなに簡単にはいかないだろうけれど
悲しみや喪失感に振り回されるのでなく
子供の気持ちを自然に汲み取って今までにない新しい絆を
新しい形の家族を作ればいいんだというメッセージのような気がしました。

で映画の数々の受賞やヒットの影で炎上したのは
参考文献として度々画面や紙面に出てきた
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違い事件の十七年」
という文献の扱いです。
こちらの方はドキュメンタリーで、
実際の経験者たちの体験はやはりもっと深刻で
子供たちに出る影響も長期にわたり、軽い気持ちでは読めない感じです。
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上は琉球新報に掲載された
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違い事件の十七年」の作者 奥野 修司氏の
映画化への感想と当時の想いをインタビューした記事
下は先日フジTVでドラマ化されたものの一場面
今回のドラマ化ではこの家族本人のインタビューや
その後の経過をドラマにはさんで伝えていた。
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取り違いというショッキングな事実を知らされた
それぞれの家族、子供たちの苦悩が
とてもドラマチックに描かれていて深く考えさせられました。

でも、ドラマを見てはっきりしたことは
最初は映画のモデルになった実話と思って観ていたのが
全く別のお話として捉えられるようになったことです。

同じような状況に置かれたのだから
同じような感情、共通したトラブルや葛藤は似ているかもしれませんが
人物設定も時代設定も違うし・・・
物語のテーマさえも全く違う気がしました。

何よりもショックだったのは「そして父になる」は
参考文献の例のような医療の現場のミスによるものではなく
看護師個人の悪意によるもので、そこには現代社会の病理を感じます。
また皮肉なことにその犯人を訪ね、家族が無茶苦茶になったことを責めると
犯人が義理の息子からかばわれるのを見て愕然とする・・・・・・
良多は自分自身の生い立ちを思い起こして義理の母に電話する。

離婚や再婚が増え、義理の親子関係が複雑になる現代社会の
新しい家族の絆とは何か・・・・・・
「取り違い」という題材をモチーフにしてはいるけれど
「取り違え」というショックな事件をきっかけに
今までとは全く違う価値観の親と
対峙しなくてはならなくなったひとりの父親が
血のつながりか?親として信じ愛した6年間の親子の愛か?
葛藤しながら成長していく姿にズームした
ドキュメンタリータッチではあるけれど。参考文献とも全く違った
ひとつの「人間ドラマ作品」である。
そんな確信が持てました。

この参考文献は2004年にもTBSでドラマ化されています。
こちらは観ていませんが、
「取り違え」というテーマがどれだけ重く
家族の尊厳に迫る問題かを物語っています。
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by budda88 | 2013-10-17 06:11 | MASAHARU FUKUYAMA | Trackback | Comments(0)
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