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Day by day 心にきざむ風景 人生いろんなことがあるけれど、今を大切に自分なりに生き抜こう

乳房、花なり

毎日お洗濯はしているのだけど、
アイロンがけはついつい
ため込んでしまう。
ため込んだアイロンをかけながら、
たまたまBSを見てると
知を楽しむ「人生の歩き方」という番組の再放送で
写真家荒木経惟の特集をしていた。
その中で進行性乳がんで亡くなった
歌人宮田美乃里さんの話題が出て来た。
余命数ヵ月と宣告された
女流歌人宮田美乃里さんは、
乳房を切除しても女であることの
存在証明を刻むために、
荒木氏のカメラの前に、自分の裸身を公開した。

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写真歌集『乳房、花なり』の中で彼女は
三十一歳のとき乳がんを告知され、
三十二歳で左乳房を全摘出した私が、
ヌードになった理由は、簡潔に言えば一つです。
乳房を失っても「私は女である」
ということを世の中に示したかった、
ということなのです。
言い換えれば、同じように乳がんで
乳房を失った女性を勇気づけたかった、
ということです。
私は、自分の胸の傷跡も、痛みも、悲しみも、
すべてを自分の「誇り」だと思っています。
だから、世の中にさらしたとしても、
それを恥だとは思いません。

――あとがきより抜粋

 ショパン弾く白き指先、 
患いてなお生きんとす三十路なりけり
(花と悲しみ~魂の軌跡~)

 病窓の青き秋空ゆく鳥に
こころ託して野を遊びたし
(花と悲しみ~魂の軌跡~)

私が受けた感覚と少し違うけど、
勇気あるなぁ・・・
いろんな生き方があるなぁぁと、
何だか衝撃を受けた。
それと同時にいたたまれない気持ちが 
込み上げて来た。
すごく綺麗な方だけど・・・・・・
このふたつの歌以外の歌は
私には何だか少し耽美的過ぎる・・・
美しい人には美しい人独特の世界や 
人生観があるのだろうか?
こんなに綺麗な人だからこそ、
女を無理やりはぎとられるような運命は
一層ショックだったに違いない。 
でもこんなに美貌があれば
胸がなくても充分魅力的である。
胸がなくなったら、もう男の子みたいな 
ものの私とは大きな隔たりが
あるような気がした。

◇考えた上での選択とは思うが、
一度医療側の説明を受けては
--乳がんの診断と治療法を具体的、
体系的にまとめた「乳がん全書」(法研)
の編著者で聖マリアンナ医科大学病院  
乳腺・内分泌外科部長の福田護さんの話

患者さんに「自分らしく生きたい」
という気持ちが、医療者側に
「生きて、この苦境を乗りきってほしい」
との気持ちがなければ、
インフォームド・コンセントは成り立たない。
宮田さんは短歌を作って気持ちを整理し
出版したという、思慮深く、前向きで、
行動力もある女性だと思う。
だが、乳がんを告知され、
普通の人がなかなかできない
セカンド・オピニオンまでとっているのに、
なぜか気持ちがなえ、
内に閉じこもってしまったようだ。
乳がんの治療法には、本当にさまざまな選択肢がある。
私は「何もしない」というのも、 
「治療拒否」ではなく、
考えた上での一つの選択肢ではありうると思う。

しかし、宮田さんの場合、治癒する可能性は高い。
終末期ならともかく、明らかに治癒する可能性があり、
治療法もあって、多くの人が現実に治療している時、
今の気持ちを投稿できるほどの宮田さんが 
治療しないのはなぜなのだろう。
1回出した結論に最後までこだわる必要はない。
一度、友人や親類ら宮田さんの気持ちや 
人生を理解してくれるサポーターと一緒に、
医療者から説明を受けてみてはどうか。
セカンド・オピニオンをとって
客観的な意見を聞いたつもりでも、
一人では思い込みもあって、
自分に都合のいい情報だけを
取捨選択している可能性もある。
広い視野で客観的に、
今の自分を見つめる機会があってもいい。
人の死はその人に属することだが、
人とのかかわりの中で暮らしている以上、
生死さえその人だけのものとは
言い切れない部分があるのも事実だからだ。
(聞き手・小島明日奈)  毎日新聞2003年1月25日東京朝刊から

宮田さんは2005年に亡くなっている。
私が発症して告知を受ける
少し前である。
でも宮田さんの胸の傷は顔が美しい人だから
余計に痛々しく、何か心のひだのように
鬱でじくじくした傷に見えた。
・・・でも凛として誇り高い表情は
確かに限りなく美しい。
苦しみ、移ろい、深い苦悩の中で生や性に執着する。
それは人間的で文学的な生きざまの 
投影された傷痕に見えた。
数年後の同じ全摘手術なのに、
私の傷はもっと無機質で
スッパリと一直線で、
何の禍根もないように飄々として
乾いた傷跡・・・・・・・
これは最新のレザーメスと 
手術法の進化の賜物?
それとも私の最近の心が乾いて
こんな風に淡々としているからでしょうか?

福田先生のコメントは印象的だ。
同じ芸術家でありながら、 
先日ピアノを演奏して下さった遠藤郁子さんとかとは
何だか対照的な生き方のような気がした。
患者会の人たちや私とも・・・
全く対極の生き方のような気がした。

結局どこも行かなかった
連休最後の今日の晩ごはんは家族で
前にすまっぺさんたちと太鼓のコンサートの時に行った
神戸酒心館 さかばやしに行った。
夜に行くと、また雰囲気が違って風情があった。
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お料理は夏のメニュー 文月御膳をいただく。
お豆腐やお野菜をふんだんに使った 
冷製のお料理が多く
目にも涼やかな器や盛りつけでした。
鮎や鱧など旬のお料理を楽しみ、
3,500円でも充分満足の
連休最後の日のディナーでした。
ちなみにこの店はフランスのシラク大統領も
お食事に来られたとか
日本の風情がいっぱいですもんね。

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良い雰囲気なのはいいんだけど、
周りがラブホだらけなのが・・・
昼間は気がつかなかったこの事実(;^_^ A
ラブホから出てきたみたいかしら?と気にすると
「家族4人連れで~?」と
子供にあきれられた母でした。トホホ



by budda88 | 2008-07-22 00:50 | 生きるということ | Trackback | Comments(0)